女の宿命
満員電車の中でちらっと見えた女の子。
その表情や仕草から話し相手は男子だろうなと予想。
駅に到着して人が動く。
話し相手が見えてやはりそういうものかと少しがっかりした。
女という生き物は異性に対して女を前面に押し出す。
女と男、対象が違うとこんなにも顔が違う。
つまらない。
この心はどこにある。大げさに胸の前で手を合わせ動かす心理はなんだ。お淑やかぶるその仮面は何を見ている。
それが全て恋心という五文字に突き動かされているのだとしたら、実に巧妙だ。
自分を染め上げることができる恋というものは何者か。
先天的なものか、後天的なものなのか。コイゴコロというスイッチでそれらを適切に稼働させる指令が、遺伝子に組み込まれていたらもう笑うしかない。
馬鹿らしい。しかしそれが女の宿命か。
男は女に色気を見出し下心で近寄る。
それは女が故意に出してるものなのか、男が色眼鏡で見ているものなのか、はたまた壊れた蛇口のように溢れ出るものなのか。
下心はコイゴコロではない。男は女と違うところにスイッチがついている。それこそ理解し得ないし分かりたくもないし嫌悪を抱く。そんな罠に嵌ってもがきたくない。
コイゴコロの奴隷にはなりたくない。
そんな自分のスイッチが切り替わってしまうような、明らか女の顔をした自分を自覚したくない。
私は一人間として生きていたい。